VOICE

お客様の声

“持ってる”会社に仕向けていくデザインを。

AMRとの関わり

プロジェクトを通じて、ブランディング/コーポレート・アイデンティティの奥深さを教えていただき、それからのAMRを方向付けるきっかけとなりました。

ブラックグラフィクス株式会社 山城 滋様

画像: 山城氏がインタビューを受けておられる様子1

ものができる以前に考えること

― 私たちは、ホームページを制作するときの目標のひとつとして、現在のお客様の強みやポジションなどを整理することを通して、「未来のお客様の姿」を一緒にイメージし、それを表現することを目指しています。
ビジュアルひとつにしてもその「目的」や「意味」があることが大切だと考えていて、単に表面的にビジュアルが良いだけでは意味がないと思っています。
そのあたり山城さんの観点からはいかがでしょうか。

お金をかけてビジュアルを作るだけで売り上げが上がるんだったら、みんなお金をかければいいんですもんね。
たとえば、美味しいまんじゅう屋にしてもただ美味しいだけだったら売れないんですよね。
これはとても難しい問題で、“持ってる”まんじゅう屋は他の人よりも少しだけ美味しいまんじゅうを作るだけで売れるんだけど、その二元論でいくと“持ってる”か“持ってないか”の話になってしまいます。
ただ、仮に"持ってない"場合でも、"持ってる"ようにように仕向けていかないといけないと思っていて、これが「会社をデザインする」という話になっていくんだと思います。

― “持ってない”会社を、どのように“持ってる”会社に見せていくか。

どうしたら“持ってる”会社だと言ってもらえるかというと、僕が思うところでは、最低限「真面目」であることだと思うんですよ。
ものすごく“持ってる”人であっても、不真面目だったら“持ってない”人と一緒になっちゃいますよね。儲かるか儲からないかにも、きっとそれがあると思うんですよ。
とにかく真面目にやっていれば引っ張り上げてくれる人が出て来てくれることもあるし。
それに、最初のうちは利益が出たとしても、結局、持続できなかったら意味がないんですよね。
自分たちが楽しんで「明日も頑張ろう」と言えるような会社にしていくために継続的なビジョンを掲げていくのが、持続するためのひとつの方法なんじゃないかと思うんですよね。

たとえば25歳からある会社で働き始めたとして、50年経ったら終わりの世代になるわけですよ。その会社を次の世代に受け渡していくというときに、何を残して何を伝えていくのか?

昔から上に立つ者は大義を持って「この会社が世の中のどんな役に立つか」を考える。
その結果として他所さんよりも多くの利益をいただいて、豊かになって余ったとしたら「じゃあ恵まれへんところに寄付しようやないか」と。そういう良い循環を創り出すことがデザインであり、制作であると思っています。
またビジュアルは最終的なものだと思っているので、ものができる以前の全体をデザインすることは本当に重要になってきていると思いますね。

画像: 山城氏がインタビューを受けておられる様子1

会社をデザインする

― お仕事をされる際には会社の全体像を見られているということですか。

仕事の依頼を受けて、経営者や専務とお話ししていると、どういうところに軸足を置いているかって大体分かるじゃないですか。おこがましいかもしれないけどやっぱり伝わってくるものなので。
グラフィックデザインはそうやって会社の全体を見ながら創っていくものだと思っています。
その中でできるだけ印象を良くして、出来たものを見てもらって、皆が背筋伸ばしていこうと思ってくれたら一番いいなと思うんです。
だから、“持っていない”会社も、何か“持って”もらえればいいなと思いながら仕事をしています。
どうしたら“持たせて”あげられるのかが僕の今のテーマでもあるんですけどね。

― デザインをされるときの過程はどんなものですか。

ひとつの仕事は山登りみたいなものだと思っています。
山登りってイメージと準備が必要じゃないですか。一体どんな山を目指すのか、どんな装備でいくかとか。だから仕事にかかる前が一番重要なんじゃないかな。たくさん打ち合わせをさせてもらったり、情報収集したり、同じ業界を調べてみたり、「こうなりたい」という部分を社長から聞き出したりします。
僕らの仕事でいうと、「登る」のはクリエイティブの部分なんですよ。
クリエイティブさえできれば、後はレイアウトをしたりデータを作ったりする「降る」道に変わります。僕はこの降る部分を「整理」と呼んでいて、ちゃんと登れてさえいればここからは誰でも帰れるくらい。ただ本当は、半分ほど登ってしまう頃には何をすべきかは決まってるんですよね。

山城さんとデザイン

― 山城さんはグラフィックを作ると同時に、コピーや文章も重視しておられますね。

確かに文章から入ることは多いですね。大体それでイメージができてくるので。
最初は知らない業界や商品であっても、それを知っていく中で面白いなあと思って、言葉でそのことを伝えると社長も共感してくれたりして、良い共感やシンパシーを送り合えるような関係になれたら、仕事をしていてこんなに嬉しいことはないなと思いますね。

― AMRのロゴにもコピーを組み合わせてくださっています。

ああいうのも「やっぱりこれも入れたらいいよな」って単純にそんなことだけです。だけど、それによって皆が「ここを目指せばいいんだ」「こういうことを忘れなかったらいいんだな」と思っていただけたら最高やな、と思って作っているだけですね。

画像: 山城氏がインタビューを受けておられる様子3

― 山城さんにとってのデザインとは何でしょうか。

僕にとってのデザインは、自分を表現するフィールドだと思っています。どこのクライアントであっても僕を表現するものに変わるというか。クライアントの想いに自分も乗せて「山城やな」っていうものが出来たらいいですね。あとは漠然とですが、世界の幸せに関われるようなデザインができればいい。

― 今日は弊社の若いデザイナーも勉強のため一緒にお話を伺っています。
山城さんの思うデザイナー像とはどのようなものでしょうか?

全く世の中にない、新しいものを生み出すというのは無理だと思っています。でも、新しい組み合わせを目指していくのは可能ではないかな。
でもそのときに新しいものばかりに気を取られてても駄目で、やっぱり伝統的でオーセンティックなものもしっかり学習して、それが身についた上での「斬新」だから、常に新しいものを求めるには、伝統的なものを見直していかないといけないと思いますね。

― 今の時代、さまざまなものがすごいスピードで移りゆくことを実感しますが、その中で山城さんはどのようにデザインと向き合っていこうと考えておられますか。

僕らの時代は、筆を使って明朝体やゴシック体が綺麗に書けるかどうかという話だったのが、写植が出てきて、ワッと盛り上がったと思ったら20年ほどでまた下火になってしまった。そのうちグラフィックデザイナーも無くなるんじゃないですか。
でも究極はね、「業績を伸ばしたい」「たくさん雇用を増やしたい」とか、「もっと景色が良い所まで行ってみたい」と願うことが無くならない限りは、何らかの方法でグラフィックデザインは生きる道があるんだろうなと思っています。
そう願った先で、「あの人がいたからこんな景色の良い所まで登れたんだな」と思ってもらえたら、一番嬉しいことですよね。

画像: 山城氏と高橋の写真
アイコン画像
ブラックグラフィクス株式会社
山城 滋